第1話 時の流れと優しさと・・・無口

T.天空のカフェ、ここは様々な神々や精霊、魔神・・・
時には魔界の住人も来る、ちょっと変わったカフェです。
暗黙の了解でここは中立区域として喧嘩や睨み合いなどは一切ありません。
いらした方は等しくお客様なのです。
おや、マスターが開店の準備を始めたようです・・・
フン、フン、フフフン・・・フン・・
マスターのいつもの鼻歌が聞こえてきました。
もう直ぐ開店のようですよ・・チリン・・チリン・・
「いらっしゃいませ」
「こんにちは〜」
「ようこそ、いらっしゃいませ」
「あの・・・」
「なあに〜?」
「そのお姿ですと椅子に座れませんよ」
「あら、嫌だ・・・ごめんなさいね〜」
そう言ったかと思うとポワンと白い煙の中から
美しい女性があらわれました。
「これでいいかしら?」
マスターはにっこり微笑んで
「どうぞお掛け下さい、とてもお綺麗ですね。」
「ありがと〜褒められちゃった」
「今日は別行動ですか?お珍しいですね」
「今日はシヴァ様は瞑想中なの〜、私もお昼寝してたんだけど〜、
目が覚めてもまだ瞑想してたからちょっとお散歩に来たの〜」
「そうですか、シヴァ様の瞑想は長い時がありますからね」
「そうね〜」
「お飲み物は何がよろしいですか?」
「そうね〜、チャイがいいなぁ」
「では、スパイスがきいたチャイにしましょう」
「お砂糖少し多目でね〜少し甘いほうが好きなの」
「はい、承知いたしました」マスターはスパイスを用意し、チャイを作り始めた・・・
「ねえ、マスターさん」
「何でしょう?ナンディ様」
「私ってのんびりっていうか、おっとりっていうか〜」
「見ていて苛々しない〜?」
U.「そんな事はありませんよ、ナンディ様の
その、のんびりした雰囲気は周りを和ませる不思議な力があります。
私はとても好きですよ」
「そういってもらえると嬉しいな〜」
「シヴァ様に何か言われたんですか?」
「何も〜」
「この前ね、シヴァ様乗せて歩いてる時に
ぽかぽかして気持ち良くてちょっと休んで寝ちゃったの〜」
「シヴァ様、乗せたままですか?」
「そうなの〜、でね、目が覚めたら大分時間が経っててね〜」
「シヴァ様怒りませんでした?」
「目が覚めたか?起きたのなら行くぞって、そう言って〜」
「シヴァ様、お優しいですね」
「そうなの、起きるまで待っていてくれて〜」
「チャイをどうぞ、お待たせしました」
「ありがとう〜いい香り〜」
ナンディさまはニコニコしながらチャイを飲みました。
「あら・・・」
「どうされました?」
「シヴァ様が呼んでる〜」
「瞑想終られたんですかね?」
「そうみたい〜今日は早いのね〜行かなくちゃ〜」
「また、ゆっくりお出かけ下さい、ナンディ様」
「はーい、ありがと〜行って来ま〜す。ご馳走様〜」
そういうとナンディ様はそのまま出て行かれたのですが・・・
あのお姿ではシヴァ様は背中にお乗りになれないですね・・・
「シヴァ様〜お待たせしました〜」
「・・・ナンディ」
「なんですか〜?」
「その姿では私は乗れんな・・・」
「あら・・・」ポワンと姿を戻すと・・・
「ごめんなさい〜」
「私はお前の背中に乗って揺られていく時間が好きだ、行くぞ」
「は〜い・・・(シヴァ様〜ありがとう、やっぱりお優しいですよ)」
シヴァ様、ちゃんとナンディ様の事気にかけているんですね。
チリン・・チリン・・おや、お客様のようです・・・・



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